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介護事業所の虐待防止研修・BCP研修毎年やることと、1年の組み方

虐待防止、身体拘束の適正化、BCP(業務継続計画)、感染症対策。介護事業所では、こうしたテーマの研修を毎年行うことが求められています。「毎年同じ内容になってしまう」「何を、いつ、どこまでやればいいのか分からない」という声も少なくありません。

私は佐賀市で居宅介護支援事業所の管理者をしている主任ケアマネジャーです。自分の事業所でもこれらの研修を毎年行っている立場から、介護事業所で毎年行う研修の全体像と、1年の組み方を整理します。

この記事の要点
・虐待防止・BCP・感染症対策の取り組みは、2024年4月から全ての介護サービス事業所で完全に義務化されています
・研修だけでなく、委員会・指針・担当者(虐待防止)や計画の策定と訓練(BCP)もセットで求められています
・年間計画を先に決め、事業所の実例を題材にすると、毎年同じ研修になりにくくなります

2024年4月から、完全に義務化されました

2021年度(令和3年度)の介護報酬改定で、全ての介護サービス事業所に、次の取り組みが義務づけられました。3年間の経過措置を経て、2024年(令和6年)4月から完全に義務化されています。

テーマ主に求められていること
虐待の防止虐待防止のための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設置
業務継続計画(BCP)感染症と自然災害のそれぞれについて計画を策定し、研修と訓練を定期的に行うこと
感染症の予防・まん延防止委員会の開催、指針の整備、研修と訓練の実施

さらに2024年度の介護報酬改定では、虐待防止の措置を行っていない場合や、業務継続計画を策定していない場合に、介護報酬が減算される仕組みが設けられました。研修は「やったほうがよいもの」ではなく、事業所の運営に欠かせないものになっています。

身体拘束の適正化

身体拘束の適正化についても、施設系・居住系のサービスでは、委員会の開催・指針の整備・研修の実施が求められています。2024年度からは、それ以外のサービスでも、身体拘束を原則として行わないこと、やむを得ず行う場合には記録を残すことなどが求められるようになりました。

求められる内容や回数は、サービスの種類によって異なります。ここで紹介しているのは一般的な枠組みです。自分の事業所に必要な内容は、最新の運営基準と、事業所を指定している保険者(佐賀県では市町や広域連合など)の案内で必ず確認してください。

研修と訓練の、一般的な目安

多くのサービスで目安とされている回数は、次のとおりです。

研修は、内容を理解するためのもの。訓練は、実際に起きた想定で動いてみて、計画どおりに動けるかを確かめるものです。机上で手順を確認する形の訓練も認められているため、小規模な事業所でも工夫すれば無理なく実施できます。

毎年同じ研修にしないための工夫

事業所で実際に起きた場面を題材にする

「言葉づかいが強くなってしまった」「急いでいて、ついご本人の意向を確認しなかった」など、事業所で実際にあったヒヤリとした場面を、個人が特定されない形で題材にします。一般論の講義より、はるかに自分ごととして考えられます。

BCPは「読む」より「動いてみる」

BCPの研修は、計画書を読み合わせるだけで終わりがちです。「朝8時に大雨で道路が冠水した。誰が、誰に、何で連絡する?」のように具体的な場面を設定して、実際に連絡網や役割分担をたどってみると、計画の抜けがすぐに見つかります。

テーマをつなげる

虐待防止と身体拘束の適正化、BCPと感染症対策は、内容が重なる部分があります。つながりを意識して組み立てると、職員の理解も深まり、研修の時間も有効に使えます。

研修の最後に「明日から試すこと」を決める

研修は、受けたあとに現場が変わってこそ意味があります。最後に一人ひとつ、「明日から試すこと」を書き出して終えるだけで、翌月の現場の様子が変わってきます。

1年の組み方の例

年度の初めに1年分の予定を決めておくと、慌てて実施することがなくなります。以下は、年1回ずつ行う事業所の一例です。

時期内容
4〜5月年間計画の決定。新しく採用した職員への虐待防止・感染症対策の研修
6〜7月BCP(自然災害)の研修と訓練。大雨の時期の前に、連絡網と役割分担を確認
9〜10月虐待防止・身体拘束の適正化の研修(事業所の実例を題材に)
11〜12月感染症対策とBCP(感染症)の研修と訓練。流行期の前に確認
2〜3月1年の振り返り。委員会で次年度の計画と、指針の見直し

施設系のサービスなど年2回以上が求められる場合は、この流れを半年ごとに回す形で組み立てます。研修ごとに、日時・内容・参加者を記録として残しておきましょう。

外部講師に頼むという選択肢

毎年の研修を、管理者や担当者がすべて自分で準備するのは大変です。外部講師に頼むと、職員が同じ話に慣れてしまうのを防げるうえ、管理者自身も受講者として参加できます。

Link Circle株式会社では、佐賀県内の介護事業所で毎年行う研修(虐待防止・身体拘束の適正化・BCPなど)を、事業所の状況に合わせた内容でお引き受けしています。講師は、主任介護支援専門員として居宅介護支援事業所の管理者を務める伊藤 睦です。事業所内研修のほか、複数の事業所の合同研修、オンライン研修にも対応しています。

よくある質問

虐待防止の研修は、年に何回必要ですか?

一般的な目安は、定期的な研修(年1回以上、施設系のサービスは年2回以上)と、新しく採用した職員への研修です。サービスの種類によって求められる内容が異なるため、最新の運営基準と、事業所を指定している保険者(佐賀県では市町や広域連合など)の案内で確認してください。

BCPの研修と訓練は何が違いますか?

研修は、BCPの中身や、非常時に一人ひとりが何をするかを職員が理解するためのものです。訓練(シミュレーション)は、実際に災害や感染症が起きた想定で、連絡や役割分担が計画どおりに動くかを確かめるものです。どちらも定期的に行うことが求められています。

研修は事業所の中だけで行ってもいいですか?

事業所内での研修で構いません。外部講師を招く、ほかの事業所と合同で行う、オンライン研修を受講するなどの方法もあります。どの方法でも、日時・内容・参加者を記録として残しておきましょう。

虐待防止とBCPの研修を、まとめて行ってもいいですか?

同じ日に続けて行う形はよく使われます。ただし、それぞれのテーマで求められている内容を満たしているか、記録が分かれて確認できるかに注意してください。

外部講師に頼むメリットは何ですか?

職員が同じ話に慣れてしまうのを防げること、ほかの事業所の実例を取り入れられること、管理者自身も受講者として参加できることなどです。事業所の状況に合わせて内容を調整してもらえるかを、事前に確認しましょう。

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